ジークフリード・ギーディオン:S.Giedion

 

ギーディオンはまさに近代を生きた建築思想家で、古代から近代にいたる建築の変化を、『時間・空間・建築』という大著にまとめました。下記はその中で説明されている空間概念の3段階です。

  1. 空間を放射する立体としての建築

    メソポタミア・エジプト・ギリシアの建築がこれである。この段階の建築は、たとえばピラミッドやギリシア神殿にみられるように、空間のなかの結晶もしくは彫刻に類似する。空間はこれらの建物から外側に向って各方向に放射される。特別重要な意義をもつのは上方への垂直性である。内部空間に対する関心は乏しく、内外を連絡する窓はない。これはいわば《前・空間的(pre-spatial)》な建築である。

  2. 内部空間としての建築

    ローマ・中世・ルネサンス・バロックの建築はすべてこれに属する。これらに共通の特色は内部空間の強調ということであり、それらはいわば《掘り抜かれた(hollowed-out)》内部空間をもつ。内・外空間を連絡するものとして窓が発達し、またそれに対応して外観に変化が生ずる。この段階の最初の目印となる遺構は巨大なドーム構造からなるローマのパンテオンであり、それ以後、中世・近世を通じてドームやヴォールトによる内部空間の構成が多彩な発展をとげ、また大きな窓もローマの公衆浴場以来、連続的に発達した。この段階の空間概念はいわば``西洋的空間概念''といえる。

  3. 立体と内部空間の両方の建築

    20世紀の建築がこれで、現在も発展中である。この段階の建築は第一段階の建築と同じく、自己の空間的雰囲気を放射し、この点においては彫刻に似ている。しかし同時に内部空間に対する関心も前段階から継続しており、窓は連続的なガラス面にまで発達し、内部空間を融合させる。また中央部の高いドーム天井ではなくて、ル・コルビュジエのロンシャンの教会堂のように中央が低く両側の高い天井により、空間が外方に連続するような印象を与えるものも現れた。

    井上充夫著、『建築美論の歩み』より引用

 

 

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Norberg-Schultzも指摘していますが、この説明の中では空間という用語に対する定義が明確ではありません。直接、空間に言及するのではなく、空間が介在するものとしての、objectあるいはvolumeに従属するものとしての空間が語られているのです。つまりは、形態に言及しているのです。(空間を現象ではなく実体として考えています)。