数学的な空間

数学でも空間という言葉を使っていたことは憶えていますか?

そして平面のことを2次元平面(本当は2次元空間が正しい)と呼んだり、空間のことを3次元空間と呼んだりしますが、次元というのは、ある点の位置決めをするのに必要な数値の数だと考えてください。たとえば、4次元空間であれば、点は(x,y,z,w)と書け、x,y,z,wの4本の軸があることになります。

さて、2次元の図形を描くのは簡単です。紙の上に鉛筆で、丸でも三角でも、ぐにゃぐやの線でも描けばそれが2次元の図形です。紙は平面だから、適当にx軸とy軸を描いてやれば、その上の点はすべて(x,y)で決まります。

それでは、紙の上に3次元の図形を描けと言われたらどうしましょう。見た目に3次元(つまり立体)に見える図形は描けるでしょうけれど、それは本当に3次元でしょうか? 描かれた図形のすべての点は紙の上に乗っています。とすると、すべての点は(x,y)で決められます。zの値は必要ありません。ということは、これは2次元の図形ではないですか。目に見えていることと、数学の世界での事実は、このように食い違ってしまったりすることには、気をつけなければいけません。(右の絵の果物は食べられない。)

次に、4次元空間の模型を作れ、と言われたら、どうすればいいでしょうか。どうやっても作ることはできないはずです。なぜなら私たちが生きている世界は、3次元の世界だから、それ以上の次元の物を作ることはできないのです。

ここでちょっと考えてみましょう。

さっき、紙の上に、3次元の図形に見える物を描きました。建築図面の中でも同じようなことをやっていることに気づいたでしょうか。平面図、立面図、断面図、これら2次元の物体から、3次元の物体を組み上げることができます。つまり3次元物体を2次元平面に投影することが可能なのです。ということは、いま私たちの身の回りにある3次元の世界は、4次元世界が投影されたものと考えることができるのです。4次元世界にいろいろな方向から光を当てれば、いろいろな影ができます。そのひとつひとつが3次元の世界で、私たちがいるのは、たくさんある3次元世界のひとつ、と、とてもSFチックで想像の世界が広がります。

しかし数学の空間はもちろんSFなんかじゃありません(高度に知的なゲームとはいえるかもしれませんが)。数学は、その根っこのひとつとして幾何学を持っています。幾何学=geometry=geo+metry=地面を図ること(建築の世界では図ることがとても大切です)。それが根っこにあるのだから、とても実用的なものなのです。上の次元の話でも、宇宙が生まれた直後は数十次元の世界があったそうです。もちろん私たちにはその世界を体験できません。でも体験できないからといって、それが存在しないということではないのです。

それでは物理の世界に行ってみましょう