『老子』における無・空間

老子とは古代中国の思想家で、道教の祖とされています。その著は『老子』あるいは『道徳経』と呼ばれていて、春秋時代(紀元前770〜403年)末期あるいは戦国時代(紀元前403〜221年)書紀に成立したと言われています。老子が説いたのは<無為自然(何も為さずあるがまま)>な生き方です(興味ある人には『マンガ老荘の思想』(蔡志忠・作画、和田武司・訳、野末陳平・監修)をお薦めします)。その中で、建築的な意味の空間の説明になりうる部分があります(実際には「無」の有用性を述べた部分です)。

30本の輻(や)が車輪の中心に集まる。
車の中心点の有用性は、その中心の穴の空間にある。

われわれは粘土の塊から容器をつくる。
それを有用にするのは、容器の内部の何もない空間である。

われわれは部屋のために扉や窓をつくる。
その部屋を住みやすくするのは、これらの何もない空間である。

こうして有形のものは便利である。
しかし、それを有用にするのは無形のものなのである。

コルネリス・ファン・デ・フェン(佐々木宏訳)、『建築の空間』、丸善、昭和56、p.3

 


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