モデュロ−ル:modulor

モデュロールモデュロ−ルとは、 <module d'or>([仏] 黄金のモデュ−ル)から建築家ル・コルビュジエがつくった用語で、黄金比に近い比例をもつフィボナッチ数列から得られる数値を基に、人体寸法に適合させながらつくりあげた寸法体系(人体の標準寸法を183cm、片手を上げたときの高さを226cm、身体の中心としての臍の位置を113cmと設定している)。

ル・コルビュジエの著作『Le Modulor (1948)、吉阪隆正訳: モデュロ−ル』および『Le Modulor 2 (1954)、吉阪隆正訳: モデュロ−ル2』(いずれも鹿島出版会)に詳しく解説されています。

ユニテ・ダビタシオン(Unite d'Habitation)はモデュロ−ルを大規模の建築に適用した例として有名で、とくにマルセイユのユニテ・ダビタシオンラ・トゥーレットの修道院はモデュロールだけでなく、ル・コルビュジエのあらゆる理念が実現された作品です。

 

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これらの写真を見ると、ル・コルビュジエのモデュロールへの思い入れがよく分かります。壁面にモデュロールや住戸の断面を記述したということはどういうことでしょうか? 欧米では日本と違って、寸法を芯々ではなく、部材寸法で決めていきます。したがって、空間の内法をダイレクトに決めることが可能なのです。黄金比は、どちらかというと、空間よりは形態に対して見られるので、形態言語ということができるでしょう。それに対してル・コルビュジエは、黄金比をフィボナッチ数列を用いて数値的に単純化したモデュロールを、空間の内法寸法にも適用しました。つまり、モデュロールは空間言語と位置づけることができるでしょう。これこそが、モデュロールの最大の意義と考えられます。