黄金比
golden section(英), section d'or(仏)

線分AB上に点Cを、

AC:BC=AB:AC

となるようにとったとき、ACとBCの比を黄金比といい、値は、1.61803398875..... : 1となります。これを簡単な整数比に近似すると、5 : 3 あるいは 8 : 5 となります。

黄金比は、フィボナッチ数列の隣接2項の比の極限値としても得られ、また、2次方程式x^2-x-1=0またはx^2+x-1=0の正の解としても得られます。

古来、美しいプロポーションとして重要視され、中世ヨーロッパでは、神聖比例(Divine Proportion)とも呼ばれました(『神聖比例』フラ・ルカ・パチオリ、ca.1450-ca.1520)。

近代にいたって、ル・コルビュジエは、形づくりの論理として黄金比に着目し、フィボナッチ数列を人体に適用したモデュロ−ルを提唱しました。

いろいろな文献における黄金比の説明

『形のデータファイル』『広辞苑』『建築美論の歩み』『建築大辞典』新潮社『世界美術事典』

簡単な作図の方法

黄金比は無理数なので、定規で測って描くことはできません。

簡単な整数比に近似すると 3 : 5 あるいは5 : 8 となるので、この値を使う方法もありますが、定規とコンパスがあれば、簡単に、正確に作図できます。(->作図のアニメーション)

1

その1

正方形を描く。

2

その2

2分割する。

3

その3

2分割した長方形の対角線を半径とする円弧を描く。
<解説>元の正方形の一辺の長さを2aとすれば、対角線の長さは、a^2+(2a)^2=5a^2の平方根となる。したがって、この図の底辺の長さは、a+(5a^2の平方根)。

4

その4

円弧を含む長方形を描けば、出来上がり。
<解説>上記の計算より、短辺:長辺=a:(a+(5a^2の平方根))=1:(1+5の平方根)となっている。

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